和モダンとは|過去から受け継ぎ、調和し、そしてつないでいく暮らし

「和モダン」という言葉を耳にする機会が、ここ数年でぐっと増えました。雑誌やインテリアショップ、住宅の広告などでも頻繁に登場し、どこか心惹かれる響きを持っています。一方で、その定義はしっかりと定まっておらず、「和風とはどう違うのか?」「ただのミックススタイルなのか?」と感じる方も少なくありません。
私たちは、実際に和モダンな空間を体感できるショップ兼ショールーム『和モダンN6北円山』の運営を通して、その” 和モダン ”についてより考えるようになりました。本コラムでは、和モダンの本質とその魅力について、あらためて紐解いていきます。
記事の内容
日本の美意識と現代の暮らしをつなぐ「和モダン」
私たちが考える“ 和モダン ”とは、「日本の伝統的な技術や美意識を、現代の暮らしに合うかたちで活かすこと」です。
長く受け継がれてきた素材や意匠を、今の空間やライフスタイルに調和させていく。受け継いできた伝統を大切にしながら、現代の感性や使い方に合わせて提案していく。
それが、私たちにとっての” 和モダン ”です。
そして和モダンN6北円山では、この考えをもとに、各地の職人が受け継いできた技や想いを、ストーリーとともに丁寧に伝えることを大切にしています。
私たちの和モダンへのこだわりは、ただ美しいものを求めることだけではありません。長く受け継がれてきた知恵や感性を、今の住空間やインテリアの中で再構築し、未来へとつないでいく。それが私たち和モダンN6北円山の使命です。
伝統工芸は、現代にも調和するデザイン
和モダンN6北円山では、全国各地から選りすぐった伝統工芸品も取り扱っています。当施設内にあるものは、どれも歴史ある技術や素材を使いながら、今の内装やインテリアにも自然に溶け込むような逸品ばかりです。
たとえば、和柄と和紙を組み合わせた照明は、空間にやさしい光を届け、和洋問わずどんなインテリアにもなじみます。南部鉄器の急須や鉄瓶は、使いやすさとデザイン性を兼ね備え、日常の中で確かな存在感を放ちます。
ただ「和」であるだけでなく、どこか洗練された現代的なエッセンスが感じられます。伝統工芸とは、“古くて立派なもの”ではなく、“今の暮らしにもフィットするもの”です。そのようにして再解釈された工芸品たちは、現代の内装やインテリアにさりげない彩りと豊かさを添えてくれます。
和モダンの内装がもたらす“静かな豊かさ”
和モダンの空間づくりにおいて重要なのは、内装にただ「和」の要素を取り入れることではありません。
現代のライフスタイルや感性と調和しながら、素材・光・色・余白といった繊細な要素を通じて“静かな豊かさ”を演出するのが、和モダンの内装の真骨頂です。
たとえば、木材や漆喰、和紙といった自然素材を使いながらも、シンプルで洗練された家具や照明と組み合わせることで、どこか懐かしくも新しい空間が生まれます。色味は抑えめにして、質感や陰影で奥行きを持たせることで、過ごす人に心地よい解放感を与えることができます。
また、格子や建具、引き戸など、日本的なディテールは空間の仕切り方にも変化を与え、機能性と美しさを両立します。視線を通しながらも空間を区切る工夫、自然光の取り込み方、季節の移ろいを感じる余白。そういった細部の積み重ねが、和モダンの内装を“体感するデザイン”にしています。
家具や小物がつくる、和モダン空間のアクセント
和モダンの空間を構成するうえで、建築的な内装デザインと同様に重要なのが、インテリアとしての家具や小物の選び方です。特に、空間の中にどのような質感や佇まいのものを「置くか」によって、その場の空気感ががらりと変わります。
たとえば、直線的でシンプルなローテーブルに、手仕事の木椀や鉄瓶をさりげなく置くだけでも、その場に「和の気配」が漂います。壁面に掛けられた手染めの布、窓辺に飾った一輪挿しの器、玄関に据えられた陶器の照明など、こうした小さなディテールが、和モダン空間の“核”になることも珍しくありません。
和モダンN6北円山では、空間演出の中でこうした伝統工芸品の持つ力を重視しています。家具や小物はただの“インテリアパーツ”ではなく、「どんな空気を醸し出したいか」「どんな物語を伝えたいか」といった空間の意図を具体的に表現するためのキーアイテムです。
つまり、和モダンな空間は、大がかりな改装をしなくても実現可能です。大きな内装工事をせずとも、こだわりの家具と意味のある小物、そのひとつひとつが空間に豊かな陰影と深みを与えてくれるのです。
和モダンは高尚で高額なもの、という考えからの脱却
「和モダン」と聞くと、多くの人が「高級」や「格式高い」、「特別な空間」といった印象を抱きがちです。確かに、伝統工芸や自然素材を活かした空間は、丁寧な手仕事や歴史の重みを感じさせるものです。しかし私たちは、和モダンを「限られた人だけのもの」にはしたくありません。
もっと自由に、もっと身近に、和モダンを暮らしの中に取り入れてほしい。そう考えて、私たちは独自のものづくり体制を整えてきました。その一つが、自社で導入しているレーザー加工機です。
この機器を活用することで、木材やアクリルなどの素材に、伝統的な文様や和のモチーフを精緻に加工することが可能になりました。コースターや表札などの小さなインテリアアイテムから空間演出パネルまで、柔軟かつスピーディに対応できます。
オリジナル性を重視しながらも、コストを抑えた提案ができるのは、社内で設計から制作までを一貫して行える体制があるからです。これにより、お客様のニーズや空間の用途に合わせた“ちょうどいい和モダン”を形にすることができます。
和モダンは、決して手の届かない特別なものではありません。感性と工夫、そして適切な技術があれば、日常の延長線上にすっとなじむ形で表現することが可能です。私たちは、そうした和モダンの新しい可能性を、これからも提案し続けていきます。
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和モダン空間づくりを、プロとしてサポート
私たち和モダンN6北円山は、日本初の和モダン特化型施設として、単に商品を紹介する場にとどまらず、和モダンな空間づくりそのものをお手伝いする場所でもあります。
新築やリノベーションに和モダンの要素を取り入れたいという住宅オーナーの方、店舗や施設で上質な和の空間演出をしたいという事業者の方など、是非一度足を運んでみてください。
私たちは、全国の作り手とのネットワークと、空間づくりのノウハウを活かし、設計段階からのご相談や導入提案も行っています。工芸品をただ“飾る”のではなく、生活の中で“使いながら楽しむ”提案こそ、和モダンN6北円山が得意とするところです。
”和とモダンが自然に交差する空間”、それは見た目の美しさだけでなく、使う人の心を穏やかにし、訪れる人の印象に残る力を持っています。